ムルモ(9)

 ムルモ「さっきはボクもつい取り乱してしまったでしゅ・・・」

 リビングの窓側にあるソファーに寝っ転がっているムルモ。ぽかぽか陽気に包まれて、ようやく落ち着きを取り戻しました。他の妖精たちは外へ散歩へ出かけていたり、または部屋にいたりと、思い思いに午後の時間を過ごしているようです。

 ムルモ「パピィは今頃昼寝でしゅか・・・笑いすぎてあごが外れてなければ
     いいでしゅけどね。
     そんなことより、今まで起きた事件をもう一度整理してみるでしゅ」

――まずヤシチしゃんの事件。
ヤシチしゃんの悲鳴が聞こえたときのみんなのアリバイはこうでしゅね。
 お兄たま、アクミしゃん、サスケしゃん、ハンゾーしゃん
  自分の部屋でそれぞれテレビを見ていたでしゅ。
  皆しゃんテレビの内容を知っているからアリバイとしては成り立ちそう
  でしゅが、途中の数分間だけ部屋から抜け出している可能性もあるから
  完全とは言えないでしゅね。
 リルムしゃん、パンタしゃん、アロマしゃん
  ボクたちとずっとトランプしていたからアリバイは完璧でしゅ。
  そういえばアロマしゃんは途中からの参加でしゅね。
  リビングに来る途中で何かに気がついてないでしゅかね?
 パピィ、ヤマネしゃん
  一緒にお風呂に入っていたと言ってからアリバイは完璧と思って
  間違いなさそうでしゅ。
 クモモしゃん
  キッチンで後片付けでしゅか・・・これは信用していいんでしゅかね・・・?

 ムルモ「う~ん、アリバイの面ではやっぱりテレビを見ていたお兄たまたちが
     怪しいでしゅけど、それ以外にこれといった手がかりも無くて
     お手上げでしゅ。
     でもヤシチしゃんはたとえ背後から襲われたとしても窓ガラスに映って
     いる犯人を少しでも見ているはずでしゅから、放っておいても
     ヤシチしゃんが目覚めれば犯人は分かりそうでしゅね」


――次はパピィの事件でしゅ。
 コーヒーマシュマロにニコニコンCを塗り込めたのはお昼ご飯の直前だけ
 でしゅけど、みんなリビングにいたし、途中で食卓へ行ったパンタしゃんと
 アクミしゃんも怪しそうなそぶりはしなかったし…。
 唯一アリバイが無いのはクモモしゃんになるんでしゅか?
 それにしても、ヤシチしゃんの事件と違って犯人は何でこんなにも不確実で
 回りくどいことをしたんでしゅかね・・・?
 いくら座る場所もほぼ決まっていたとはいえ、パピィがボクのコーヒー
 マシュマロを食べるなんて誰も予想していなかったはずでしゅし。
 犯人の狙いはやっぱりボクになるんでしゅかね・・・?
 ということは、犯人はもう一度ボクを狙ってくるんでしゅか?

 ここまで考えたところで、2つの事件の動機について今まで全然考えてこなかったことにムルモが気がつきました。

――ヤシチしゃんって殴られるほど恨まれるようなことをしたんでしゅかね。
 そういえばここに来るときの船の上でヤシチしゃんとお兄たまがケンカしてたけど…。
 パピィの事件については、ボクが探偵として事件の捜査をしていたからでしゅか?
 ボクはヤシチしゃんやお兄たまと違ってよい子でしゅし、恨まれるようなことは
 しないでしゅから・・・。

 ムルモ「ほえ? すっかり忘れていたけど、クモモペンションへやってきた
     きっかけは、みんなに送られてきた招待状でしゅね」

――招待状のことはクモモしゃんは知らないと言っていたでしゅね。
 犯人がクモモしゃんのふりをしてみんなに配ったんでしゅか?
 そもそもみんなを集める理由っていったい何だったんでしゅかね。
 連続して事件を起こすため?
 疑いを自分以外に向けるため?
 はっ、もしかすると犯人が複数いるんでしゅか・・・?
 そう思うとみんなが怪しく思えてくるでしゅ・・・。

 ムルモ「・・・・・・」

 考えれば考えるほどわからないことだらけになってきたムルモ。
午後の暖かい日差しも加わって、うとうとと昼寝を始めてしまいました。

 「・・・ルモ様、ムルモ様!」
 ムルモ「・・・ほえ?」


 ずいぶんと間が開いてしまいごめんなさい。前回の予告通り、今回はムルモの視点で今までの事件を一度整理させてみました。文字数の都合で内容は薄くなってしまいましたが、密室トリックとか時間トリックとかそういう凝ったものではありませんので、皆さん気軽に犯人や真相を予想してみてくださいね(情報少なすぎ?)。

 整理の途中でうとうと昼寝をしてしまったムルモ、本当にやる気があるのかどうか微妙なところですね。口からよだれを垂らして寝ている姿を誰かに見られたところで次回へ続きます。

(2008/5/18)